トランプは、手掌多汗症の私にとって、ハードルの高い遊びでした。
トランプには色々な種類のゲームがあります。
手汗がひどい私にもできたゲームもありましたし、絶対に無理だったゲームもありました。
遊びたいのに、手汗が気になって楽しめない…そんなことを思い出しました。
素材が大事
よく見るトランプには、紙のものとプラスチックのものがありますね。
紙のトランプ
手掌多汗症の私にとって、紙のトランプは、絶対的にNGです。
いくらしっかりした素材に見えても、紙は紙。多汗症の天敵です。
手汗をかいた私が握っていると、紙のトランプは、確実に私の汗に負けます。
いきなり破れたり、フニャフニャになったりはしませんが、端っこから濡れて変色していきます。
そして、一度濡れると、その後乾いても、もとのパリッとした状態には戻りません。
プラスチックのトランプ
それに比べて、プラスチックのトランプだと、濡れて変色したりはないのですが、代わりに水滴が残ります。
水滴が残ると、カードとカードがくっついてしまうのです。
そして、一枚のカードから別のカードに水滴が広がってしまいます。
「このトランプ、くっついてるよ。何で濡れてるの?」と言われないかとドキドキします。
かと言って、触ったカード全てを一枚一枚拭くわけにもありません。
なので、プラスチックのトランプでも、触り方には非常に気を遣います。
とはいえ、元に戻らなくなる紙よりは、拭けば元通りになるプラスチックの方が、もちろん扱いやすいです。
できるゲームと、できないゲーム
さらにゲームの種類によって、私が参加できるかどうかが決まります。
プラスチックのトランプであっても、無理なゲームはあるのです。
もちろん、この分類は、「手汗を書いている場合」という前提です。
しかし、ゲームというものには勝敗があり、進んでいくうちにドキドキしたり焦ったりします。
なので、最初は汗をかいていなくても、白熱すると手汗が出てくることがほとんどなので、ゲーム開始時に汗が出ていなくても油断できないのです。
ババ抜き
トランプゲームといえばまずババ抜きが頭に浮かぶ、と言ってもいいくらい、ポピュラーなババ抜き。
ババ抜きは、私にはできません。
なぜかというと、自分の手札を手に持つからです。そして、相手が一枚引きますね。
私が触ってしまい、濡れた状態で、相手に渡すことになります。どのカードを引くかは相手次第ですし、相手が引いた後に、そのカードを拭くことはできません。
なので、ババ抜きは難しいです。
ババ抜きに限らず、手札を手に持ち続けることが必要なゲームは、だいたい無理でした。
神経衰弱
神経衰弱は、裏返したカードをめくる時など、カードの触り方に気をつければ、参加できました。
角をつまんだり、両側からフチを挟んで持ち上げたりすれば、カードの表面に触らなくていいので、何とかなったのです。
七並べ
七並べは、手札を常に持っておく必要はなく、自分の番が回ってくるときに手札を確認すればいいので、比較的やりやすかったです。
手札を触るときや、場にカードを置くときには注意が必要ですが、工夫すればカードを濡らさずに参加できました。
ぶたのしっぽ
「ぶたのしっぽ」は、地域によってルールが違うようですが、私の周りでよくやっていたのは、
- 場に丸く広げたカードを順番に引いて、場の真ん中に置いていく。
- 場にすでに置いてあるカードと同じマークが出たら、一斉にそのカードの上に手を置く。
- 手を置くのが一番遅かった人(反射神経が一番鈍い人)が場にあるカードを引き取り、最後にカードが少なかった人が勝ち。
というルールでした。
手を置く速さを競うのがこのルールの醍醐味で、みんなドキドキしながら次に置かれるカードを見つめます。大人数でやると、すごく盛り上がりました。
しかし、このゲーム、もちろん多汗症の私にはハードルが高すぎます。
汗をかいていない状態だと「今ならやれるかな」と思ったりするのですが、大人数でやることが多く、緊張感満載の中で、ゲームは進みます。フェイントをかけてくる上級者もいたりして、目が離せません。
私も、もちろんドキドキです。そして、「あ、やばい」と思った瞬間にはブワッと汗が噴き出すのです。
そうなると、友達と手を重ねるなんて、とんでもありません。
「やっぱり参加しなければよかった」と思いながら、逃げ出す言い訳を考えました。
今だから気づくこと
私はトランプが嫌いなわけではありません。
友達や家族とトランプで遊ぶのは、楽しかったです。
しかし、私にはできるゲームとできないゲームがあります。
トランプをする相手が家族だとあまり緊張しませんし、「七並べがいい」「ババ抜きはしたくない」と言えるのですが、友達相手だとワガママを言っているように思えて、「こっちがいい」「これはしたくない」と言えませんでした。
そして、何人かいると、「みんながやりたがっているのに嫌だとは言えない」と、さらに言えない傾向が強くなりました。そして、冷や汗をかきながら何とか手汗を誤魔化す、という状況になるのです。
今振り返ると、こんなふうにしても良かったなあと思います。
- みんながトランプをするというなら、できそうなゲームにしてもらう。
- 自分には無理なゲームをすることになったら、参加しない。
- いつも遊ぶ友達だったら、汗のことを話しておく。
我慢して、自分で自分を追い込むことはないのです。
「ぶたのしっぽはしたくないから、やるなら見てる」と言うと、「何で?」と聞かれるかもしれません。説明したければ汗のことを説明すればいいし、説明したくなければ理由を言わなくてもいい。
その輪を抜けて、トランプをしてない子と遊んでもいいし、一人で本を読んでもいい。
自分が子どもの時には気づけなかったことを、多汗症が遺伝した(かもしれない)娘には伝えていきたいと思っています。
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