幼稚園児のときに、自分の手汗と足汗を自覚して以来、いろんな困難に直面してきました。
汗が原因で困ったことが起きるたびに私が考えるのは、「どうして私はこんなに汗が出るんだろう?」ということ。
小学生の私は、「お医者さんなら答えてくれるかもしれない」と期待しました。
病院に行こう!
私の周りには、私のように手汗や足汗がひどい人はおらず、理解してくれる人はいませんでした。
私は自分の汗については極力隠していましたので、理解者を探すのはそもそも難しかったのですが。
母は、私がどんなに汗をかいていても気にせず手をつないでくれましたので、もちろん私の汗のことを知っていましたが、あまり深くは問題視していなかったようです。
私は、手足や足汗が原因で学校の体育がつらいことや、習い事で困っていることなどは、母には話していませんでした。
話しても母が困るだけだろうと思ったのです。だって、私の汗を、母が止めることはできません。
母から学校に事情を話してもらうとか、本当は色々できることはあったと今なら分かるのですが、小学生の私には分かりませんでした。
私は困ったことがあっても母に話しませんでしたが、母は、私が小学校高学年になったときに、「これはいくら何でも汗の量が多いんじゃないか」と考えたようです。
母から、「病院に行ってみよう」と言われたとき、小学生の私は「汗が多いなんて理由で病院に行ってもいいの?」と思いました。当時の私にとって病院は、熱が出たときや怪我をしたときにしか行かない場所だったからです。
しかし、母に「お医者さんに聞いたら、汗の原因が分かるかもしれないよ」と言われて、「確かに、お医者さんなら知っているかも!」と期待しました。
そして、「病院に行こう!」と乗り気になったのです。
自律神経失調症?
私が受信したのは、かかりつけの小児科です。
風邪を引いたときに、いつもお世話になる先生に、手の汗を見てもらいました。
先生の診断は「自律神経失調症」。
「体の水分をコントロールする自律神経がうまく働けなくなっていて、汗の量が多くなってしまっているんだよ。あまり気にしなくていい。大人になったら治るから」
そう説明を受けたとき、こんな驚きがありました。
- 私は病気なんだ!この汗は病気が原因なんだ!
- 気にしなくていい、って言われたけど、どうやったら気にしなくて済むの?
- 大人になったら治るんだ!
小学生の私にとって、先生の言葉は絶対だったので、言われたことを全部信じました。
これ以降、汗のことを説明しないといけなくなったときには、「自律神経失調症」という言葉を使いました。
病名があるのはとても便利で説明がしやすく、話を聞いた友達も、「自律神経失調症」という言葉を初めて聞くという子が多かったですが、病気なんだということは伝わるので何となく納得してくれる感じでした。
それから、私の支えになったのは「大人になったら治る」という言葉です。
「今はこんなに汗が出るけど、大人になったら治る」と考えると、希望が持てました。
「大人になったら治る」っていつなの?
しかし、中学生になっても、高校生になっても、全く汗の量は変わりません。
「大人って何歳なんだろう?いつになったら自律神経失調症は治るんだろう?」
と、年を取るにつれて考えるようになりました。
「私の汗は治らないのかもなー」とも考えるようになってきました。
結果として、私は自律神経失調症ではなく多汗症だったわけで、小児科の先生の見立ては間違っていたのです。
専門医に受診を
おそらくなのですが、私が小学生だった30年前には、多汗症についての知識を持った医師は少なかったのだろうと思います。
今でも、たとえ皮膚科を受診しても、多汗症について詳しくない先生もおられるかもしれません。
そんな中で、私が受診したのは小児科でしたし、先生が多汗症について知らなかったのは致し方ありません。
母も私も、医師に病名をつけられ、大人になれば治ると言われてすっかり安心してしまい、さらに他の病院を受診することなど考えもしませんでした。
現在では、多汗症についての情報がインターネット上に多くありますし、多汗症について理解のある皮膚科も増えていますので、受診する際には、多汗症治療を実施している専門医を探してください。
私の場合、小児科の先生が病名をつけてくれたことで救われた面もありましたが、やはり正しい知識を持った専門医に診断してもらうのが一番です。
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