多汗症の私が、小学生のときに困った授業ランキングをつけると、1位はダントツで体育。
2位は図工です。手先を使う作業は、手掌多汗症にはつらいことが多いのです。
お互いを描き合おう
小学校の図工の授業で一番困った記憶は、5年生のときの人物画を描く授業です。
隣の子と向き合って、お互いの上半身を描くのが課題でした。
問題は、そのテーマ。
「手に何かを持った人」だったのです。
何を持ってもいいし、ポーズも自由。
しかし、テーマからして、手を凝視されることは間違いありません。
先生がテーマを告知した途端、私の手からは汗が噴き出します。
こういうときは、じんわり汗をかくのではなく、一気にブワッと汗が出てくるのです。
私のパートナーは、隣の席の男の子。優しくて女子に人気の子でした。
ポーズをとろう
描き手とモデルを交互にするので、まずは隣の男の子が、消しゴムを手に持って、ポーズをとります。
先生の合図で交代するのですが、それまでモデル役はポーズをとったままです。
次は、私がモデルの番です。ペンだったかな、やはり文房具を手に持ちました。
男の子が描いている間、私はジッとしておかないといけないんですが、これが難しい。
というのが、私の手は、手の甲以外の全部の部分から汗が出るのです。
指も手のひら側だけでなく、指の側面や指の背(手の甲側)にもびっしり汗をかきます。
ペンを握っている手を見せるとき、手の甲はいいんですが、指を見られると、手汗に気づかれてしまうのです。
内心パニックなので、手のひら側も汗がびっしょり出てきて、したたり落ちていきます。
動いてごめんね
とにかく気づかれたくなくて、こまめに手を降ろし、机の下で汗を拭きます。
モデルの私が動いてしまうので、男の子は絵が描けません。
「動かないで」「ジッとしてて」
と言ってくれますが、「うん」「分かってる」などと答えながら、相変わらず動き続けました。
「え?何で動いちゃうの?描けないんだけど」と、だんだん困ってしまう男の子。
「そうだよね」と答えながら、私も内心、困り果てていました。
結局、このやりとりを授業の終わりまで繰り返しました。
今思えば、初めからきちんと説明しておけばよかったです。
最後まで挙動不審に動いてしまう私に怒ることもなく、困って笑っていた優しい子なので、ちゃんと話せば分かってくれたでしょう。
それか、「ハンカチを握った手」を描いてもらえばよかったなぁ。
大人になって振り返ると、「何であんなことしたんだろう、こうしておけばよかったのに」と解決策が浮かんできますが、汗の悩みでいっぱいいっぱいの小学生には思いつきませんでした。
あの頃の私に教えに行ってあげたいです。
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