汗に悩んでいると、「どうにかして汗を止めたい」と思いませんか?
多汗症の私は、40年以上、「汗を止めたい」と悩み続けてきました。
そんな私がようやくたどり着いた方法で、多汗症に悩んでいる人、汗を止めたい人にオススメしたい方法が、ズバリ「病院に行く」です。
病院に行くと、正しい知識と適切な治療法が手に入ります。
私は、病院に行くことで、自分の望む程度には汗を止めることができました。
でも、いざ病院に行くとなると、「何科に行けばいいの?」「診察の時に何を聞かれるの?」「治療ってどんなことするの?」「汗のことを知られるのは恥ずかしい」…など、色々なことが気になりますよね。
そこで、私が病院に行った際の様子や治療法などを詳しくお知らせしたいと思います。
病院の選び方
多汗症の治療のために受診するのは、基本的には「皮膚科」。
今回私が受診したのも、皮膚科です。
ただし、皮膚科ならどこでもいいというわけではありません。
多汗症に理解があり、適切な治療法を提供してくれる病院を探す必要があります。
今の時代、多くの病院や医師が、ホームページなどに診療内容や得意分野を掲載してくれています。
「多汗症 皮膚科 〇〇市」などで検索すると、多汗症の治療を受けられる病院が出てくると思います。
病院や医師によって治療方針が色々ですので、手術を得意としているのか、塗り薬や内服薬を処方するのか、イオントフォレーシスを受けられるか、などの治療方針が、自分の希望と合う皮膚科を探すといいですね。美容皮膚科の場合、ボトックス注射がメインの治療方法だったりもします。
自分では何がいいか分からないという方は、複数の先生の話を聞いてもいいのではないでしょうか。手術以外の治療は、永続的なものではないので、色々試してみるのもいいと思います。
そして、汗の治療のためには、自分では恥ずかしいと思っているような踏み込んだ内容を話すことになりますので、相談しやすい先生かどうかもポイントになりますね。この点は、実際に会って話してみて確認することになります。
私が病院を探した方法
インターネットで検索
「多汗症 皮膚科 〇〇市」で検索しました。そうすると、私の住んでいる市内だけでも、いくつかの多汗症治療を手掛けている皮膚科が見つかりました。
そこで、皮膚科のホームページやブログを見ていって、具体的な治療内容や処方される薬を確認しました。
病院を選んだ基準
私は、手術は今のところ考えていないので、手術をメインの治療法としている病院は除外しました。
イオントフォレーシスは、以前家庭用の機器を使ってみたことがあり、私にはあまり向いていないと思ったので、今回は候補から外しました。いずれまたやってみたいとは考えています。
また、以前ボトックス注射を受けたことがあり、自分に効果があることは分かっていたのですが、今回はエクロックゲルやパースピレックスなどの外用薬を試してみたいと思っていたので、それらの外用薬を処方しているとホームページに明記されている病院を候補にしました。また、できればプロバンサインという内服薬も試したかったので、「外用薬と内服薬の両方を処方してくれる病院がベスト」という基準で探しました。
外用薬や内服薬を使うということは、薬が切れたら定期的に受診することになるわけなので、通いやすい場所にあることも考慮しました。
《私の病院探しの基準》
- 手術メインの病院は除外
- イオントフォレーシス・ボトックス注射は受けられなくてもいい
- エクロックゲル・パースピレックス・プロバンサインの処方が受けられる
- 定期的に通いやすい場所にある
こんな風に、ザックリとでもいいので自分の希望がある程度決まっていると、病院が探しやすいかもしれません。
皮膚科以外の可能性について
余談ですが、私は約15年前にも多汗症治療のために病院を探したことがあります。
当時は多汗症を扱っている病院は少なく、病院に行く場合は、「手術を検討する」or「美容整形外科でボトックス注射をする」の二択だったような覚えがあります。今、ネットで検索してみて、多汗症治療を掲げる皮膚科が数多く存在することに驚きです。
外用薬も、塩化アルミニウム水溶液くらいしかありませんでした。塩化アルミニウムはパースピレックスの成分でもあり、汗を止める効果があります。
そんな中、手術をしたくない私が見つけたのは、とある大学病院の心療内科の先生です。
ネットで多汗症を検索していると、先生の研究内容がヒットしたのです。先生の大学病院がたまたま近所だったので、ダメもとで受診しました。
メンタル面から多汗症にアプローチしている先生で、問診内容もちょっと変わっていました。診断後、塩化アルミニウム水溶液を処方してくれました。
当時は、塩化アルミニウムを処方してくれる病院はほとんどなかったので、その先生と出会えたことを感謝しました。
このように、皮膚科以外でも理解のある医師がおられる可能性はあるので、通院可能な範囲で多汗症治療をしている皮膚科が見つからなかったら、他の科でも探してみるといいかもしれません。
診察の様子
初診なので、受付で問診票記入。
多汗症を治療したいこと、手術ではなく外用薬や内服薬を試したいことなどを記入し、順番を待ちました。
しばらく待たされた後、診察室に入ると、50代くらいの男性の先生がいて、問診を受けました。
問診の様子については、病院を検討している皆さんが気になるところだと思うので、以下長くなりますが、一問一答で詳しくお伝えします。
汗の状況を確認
多汗症ということですが、いつ頃から困ってますか?自覚したのは何歳くらい?
幼稚園の頃からです
だいぶ早いですね。汗はどこから出るの?
手・足の裏・脇なんですが、最近は、顔と頭からも出るようになりました
一番困るのは、どこからの汗?
どこの汗も量が多くて困っているので、一番を決めるのは難しいんですけど…
じゃあ、一番先に何とかしたいのはどこの汗?
手です
では、まず手を見せてもらいましょう
こんな感じで、淡々と一問一答です。
「手を見せて」と言われた時には、緊張でかなり手に汗をかいていたので、「うわぁ、やっぱ見せるのかー」と思いましたが、治療のためにちゃんと見てもらった方がいいと思い、先生の前に手を出しました。
ああ、だいぶ出てきてるね。これまで大変だったでしょう
はい、大変でした…
先生は、滴るほどの手の汗に驚くこともなく、淡々と続けます。
多汗症の人が受診している病院だから先生も見慣れているのかな、と気が楽になりましたし、「大変だったね」と共感してもらえたことが嬉しかったです。
家族に同じように汗をかく人はいる?
多汗症かどうかは分からないですが、母が、頭や顔にすごく汗をかきます
なるほど。あなたは、これまでに他の病院で多汗症の治療を受けたことがある?
15年くらい前に、受診したことがあります。塩化アルミニウム水溶液をもらいました
効果はありましたか?
ありました
寝ている時にも汗は出ますか?
寝ている時は出ません
頭や顔は最近ひどくなったの?
はい。今までは手と足と脇だけだったんですが、最近急に頭と顔からもすごく汗が出るようになりました。そのせいで、メイクをすると必ずニキビができてしまいます。マスクをしている口元が特にひどいです
ちょっとマスク外して見せてくれる?・・・ああ、これはニキビじゃないね。
汗が原因で湿疹ができてるんだね
ニキビじゃないということは、ニキビケア用の化粧品を使っても意味ないですか?
ニキビとは違うので、ニキビ用の化粧品は効果ないですよ
こうして、色々と質問された後、治療の話に移りました。
具体的な治療方針
パースピレックス(手と足裏)
では、具体的な治療の話をしていきましょう。
まずは手と足裏ですが、パースピレックスという薬を使ってみましょう。パースピレックスは成分が塩化アルミニウムで、汗腺にフタを作って汗が出ないようにする薬です
そして、先生からパースピレックスの使い方を教えてもらいました。
◎就寝1時間前に、手足をよく乾かしてから、それぞれ1〜2滴をすり込むように塗る。
◎塗った部分をしっかり乾かす。なかなか乾かない時は、冷風のドライヤーや扇風機を当てるといい。
◎寝ている間は汗をかかないので、汗腺にフタを作りやすくなる。汗をかいたら効果が出ないので、寝る前の汗をかいていない時に塗ること。
◎起きたら洗い流す。
◎最初の一週間は毎日塗って寝ること。一週間たって効果が出始めたら、2〜3日に1度でいい。
パースピレックスの使い方の注意は、こんなところです。
また、パースピレックスは保険適用外の薬なので、5500円かかるという費用面の確認もありました。
エクロックゲル(脇)
次に脇ですが、エクロックゲルという薬が保険適用されるので、脇にはこちらを使ってみましょう。エクロックゲルは、交感神経と汗腺の間をブロックして、交感神経からの汗を出せという指示を汗腺に伝えないようにする薬です
エクロックゲルの使用方法も説明されましたが、パースピレックスとほぼ同じ。
ただ、エクロックゲルは洗い流す必要はありません。
また、パースピレックスと違って、使用頻度が下がっていくことはないとのこと。
なので、エクロックゲルの場合は、毎日塗る必要があるけど、朝洗い流す必要はないので、パースピレックスと比べると、メリットもデメリットもありますね。
費用面では、保険適用されるので2000円程度で済むとのこと。パースピレックスも保険適用されるといいのですが。
ちなみに、脇の汗については見せるようには言われませんでした。緊張して汗びっしょりだったのですが、「治療のためなら仕方ないけど、見せずに済むのならそうしたい」と考えていたので、正直ほっとしました。
プロバンサイン(頭・顔)
顔や頭からの汗を止めるために、プロバンサインという飲み薬を処方しますので、メイク時や汗をかきたくない時に服用してください。効果が出るまでに30分ほどかかるので、メイクを始める30分前に飲むようにしてください。
顔の湿疹は、ロコイドという弱いステロイドを塗って治しましょう。
顔や頭の汗の外用薬はないんですか?
顔や頭の汗の外用薬はないので、飲み薬で対処するしかないんですよ。
プロバンサインを使用すると、喉が渇くという人もいるし、効果がないという人もいるので、試しに使ってみて、次回の診察の際に効果について確認させてください。
以上で、診察は終了です。
今回出された薬を使ってみて、一ヶ月後に再診ということになりました。
次回、効果や経過を確認しつつ、今後の治療方針をまた考えましょう
診察の感想
病院を受診するにあたり、私が気が重かったのは、治療するためには自分の汗を見せないといけないこと。私が一番見られたくない、滴るほどの汗を見せないといけないことです。お医者さんとはいえ、私の汗を見た時の反応がとても気になります。
また、私の希望する治療を受けられるのか、その治療に効果はあるのか、という点も心配ではありました。
私の心配をよそに、実際の診察では、手の汗を見せても驚かれることも引かれることもなく、問診が淡々と進みました。多汗症治療を掲げている病院なので、多汗症の患者さんが多くて先生も見慣れているのかもしれません。
先生の反応に安心しつつ、私も色々な質問に答えていったのですが、「これまで大変だったでしょう」と先生に言ってもらえたことが心に残りました。皮膚科の医師という専門家に「大変だったでしょう」と言ってもらえて、「ああ、私って大変だったんだなぁ。汗で大変な思いをしながら、頑張って生きてきたんだなぁ」と、後からしみじみ考えてしまいました。
治療内容については、もともと希望する薬を処方してくれる病院を探したこともあり、私の希望通りの内容で進めてもらえました。薬の効果については、次項でお伝えします。
結果として、受診の前に私が感じていた不安は、杞憂に終わりました。
多汗症の方で、病院に行ってない方、行きづらいと感じている方はたくさんおられるでしょう。
汗に悩む人が、もっと気軽に病院に通えるようになるといいなと思います。
処方薬の効果
パースピレックス・エクロックゲル
受診後、手足にパースピレックス、脇にエクロックゲルを塗って就寝するようにしました。
朝起きたら、手足を洗い流します。
薬を塗り始めてから一週間経つまでは、薬の効果が出ているのか分かりにくかったです。汗の量が減ったような気もしていましたが、冬なので気温が低くて汗をかきにくいだけなのか、薬の効果なのかが見分けづらかったのです。
しかし、一週間が経つと、目に見えて効果が現れました。
汗をかかないことを実感できるレベルになったのです。
普段の私は、スイッチでゲームをすると必ず汗をかくんですが、そういう時は、もう滴るほどの汗が出ます。ゲームのコントローラーが手の汗でびしょびしょになり、床に汗が飛び散るほどです。この時、足裏と脇にももちろん同じくらいの汗をかいています。そして、一度そこまで汗をかくと、なかなか引いてくれず、ゲームを終えても汗はしばらく出続けます。
しかし、薬を使い始めてから、一週間。
ゲームをしても、手のひらに汗がキラキラ光るくらいになりました。水滴はできません。足裏と脇も湿ってるかな?くらいです。ゲームが終われば、短時間で汗も引いてくれます。
ゲームをしなければ、一日中、汗が出てきません。
今は冬なのですが、冬でも汗をかかない日なんて、これまでの私にはほとんどありませんでした。
寒いはずの冬になぜ汗が出るかと言うと、暖房を使うからです。一日ずっと寒い状態で我慢すれば汗は出ないのかもしれませんが、それをやるのはなかなか難しいです。家族がいれば家族に合わせて暖房を入れますし、私一人だとしても、寒い状態で一日過ごすのは風邪を引きそうです。
「寒いので暖房を入れる→手足脇から汗をかく→汗で身体中が冷えて寒くなる」という悪循環が、これまでの冬の日常でした。
それに、布団に入っていても、体があたたまると汗をかくのです。手足の汗でシーツや毛布が濡れてしまうので、靴下を履いたり、手を布団から出したりしていました。
こんな私が、普通に暖房を使っても汗をかかない。布団であたたまっても汗が出ない。快適にあたたかい環境で過ごせるなんて。
ありがとう、パースピレックス!
エクロックゲル、最高!
この生活ができるなら、寝る前に薬を塗るくらい、何てことないです。
ちなみに、エクロックゲルは毎日塗る必要がありますが、パースピレックスは一週間塗り続けた後は、週に2、3回でいいとのこと。これは、作用の仕組みの違いによるものです。
パースピレックスは汗腺に角栓を作ってフタをし、汗を止めてくれるのですが、角栓は3〜5日でターンオーバーにより排出されてしまいます。ターンオーバーにより効果が切れてしまうので、再び塗布して角栓を作る必要がある、という仕組みです。
効果が何日続くのかはターンオーバーの周期によるので、人それぞれのようです。
私の場合、3日塗布しないと効果が切れてしまい、一度効果が切れたら2日は続けて塗布しないと効果が復活しないように感じています。
それを踏まえて、今では「2日塗布→3日塗布なし→2日塗布」という感じのサイクルになっています。
使用開始から効果が出るまでの経緯は、今後詳細にお伝えしますね。
その際、使っていて困ったことなどもお知らせしたいと思っています。
プロバンサイン
今回の受診をきっかけに試してみたかった、プロバンサイン。
多汗症の飲み薬は使用したことがなく、ぜひ使ってみたいと思っていました。
ネットで体験談を見てみると、「乾燥」という副作用があるようです。
「目や口が乾く、でも効果はある」という感想が多く、「目や口の乾燥がひどくてとても使えない」という方や、「多少乾燥するけど我慢できる程度。汗が出ない効果の方が大きい」という方までいて、副作用である乾燥には個人差があるようでした。
私は、「汗が止まるなら、多少の乾燥くらい我慢する!」と思っていましたが、やはりどのくらいの乾燥なのか、不安も感じていました。
そこで、「一度病院で処方してもらって試したい。耐えられないほどの乾燥なら使用をやめればいい」と考えました。
しかし、診察では、「顔と頭の多汗症にはプロバンサインしかない」と言われてしまいました。
乾燥がひどくてプロバンサインが使えなかったら、「顔と頭の汗は放置することになる」と気付き、受診後ドキドキしながらプロバンサインを飲んでみました。
プロバンサインは空腹時に服用すると効果が高いことや、効果が出るまでに30分くらいかかることを処方の際に教えてもらったので、起床後、朝食を食べる前に飲んでみました。メイクは服用後30分たってから始めました。
結論から言うと、プロバンサイン服用後、この日は一日ずっと汗をかきませんでした。
効果は数時間で切れるらしく、一日2回服用していいとのことでしたが、この日は朝の1回のみの服用で済みました。
副作用については、私の場合は目の乾燥を少しだけ感じたくらいで、喉の渇きは全く感じませんでした。
もちろん個人差はあると思いますが、私の場合は特に問題なく、使っていけそうです。
薬を飲むだけで汗が出なくなるなんて、本当に有り難いです。
プロバンサインについても、その後の使用感や効果について、今後もう少し詳しくお伝えしたいと思います。
まとめ
40年以上、汗のことで悩んできた私ですが、病院に行くことで自分の望む程度には汗を止めることができるようになりました。
私はかなり重度の多汗症なので、汗の量をゼロにすることは難しそうですが、何もせずに滴るほどの汗をかくことに比べたら、生活しやすさが全然違います。
汗の問題は、生活の質(QOL)を大きく下げます。多汗症の人にとっては、好きな服を着ることができない、スキンシップをためらう、電車の吊り革を握ることができない、など日常生活に困ることがたくさんあるのです。また、日常の些細な障害にとどまらず、好きな職業に就けないというような大きな困難を抱える可能性もあります。
日本人の10人に1人が何らかの多汗症だというデータもあり、汗に悩んでいる人は多いと思いますが、多汗症患者のうち、病院を受診したことがある人は1割にも満たないそうです。
悩んでいる人が多いはずなのに受診率が低い理由を、自分の場合に当てはめて考えてみると、こういった理由かなと思います。
◎自分が多汗症だという病気だと認識していない
◎汗の問題を病院で治せると思っていない(治療法があることを知らない)
◎恥ずかしくて病院に行けない
◎自分は汗のことで悩むのが当然だ、と改善を諦め受け入れている
自分自身がそうだったので、病院に行くことをためらう気持ちも分かります。しかし、少しでも汗を減らせる可能性があるなら、トライしてみてもいいのではないでしょうか。
自分に合った治療法を見つけるのが早ければ早いほど、その後の人生が楽になります。
そのための第一歩として、病院に行くことをぜひオススメします。
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